手術について
大切なご家族の一員としてのワンちゃん・ネコちゃんに健康で長生きしてもらうためにも、繁殖を考えていない場合には早期に避妊(女の子)・去勢(男の子)手術をされることをお勧めします!手術時期としましては、だいたい生後6カ月位~が望ましく思われます。
避妊・去勢手術の予防獣医学的な意義
早期に手術を行うことにより、将来かかる可能性のある病気を予防できたり、その発生率を減らすことができます。発情や出産などに伴う様々な問題からも、解放されることができます(手術をしていない動物にとって、発情時期に交尾ができないというストレスはかなり強いと考えられます)。
生後半年くらいから発情が始まります。初回は不安定ですが、年に2回発情がおこります。
予防できる病気 | ・卵巣子宮疾患(子宮蓄膿症・子宮内膜炎・子宮捻転・卵巣腫瘍など)・出産に伴う産科疾患・偽妊娠・膣脱・膣過形成・伝染性生殖器腫瘍など |
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発生率を減少できる病気 | ・乳腺腫瘍・性ホルモン依存性皮膚疾患・膀胱炎など |
ワンちゃんにおける避妊手術後の乳腺腫瘍発生率
このように、発情が来る前に(または2回目の発情前までに)避妊手術を行うと、将来おそろしい乳腺腫瘍(乳腺癌)になる確率は大きく減少することが分かります。
予防できる病気 | ・精巣腫瘍・精巣上体腫瘍・セルトリ細胞腫・肛門周囲腺腫・前立腺肥大・伝染性生殖器腫瘍など |
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発生を減少できる病気 | ・会陰ヘルニアなど |
予防できる病気 | ・卵巣子宮疾患(子宮蓄膿症・子宮内膜炎・子宮脱・卵巣腫瘍)・出産に伴う産科疾患・持続性発情など |
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発生率を減少できる病気 | ・乳腺腫瘍・ウイルス性疾患(FIV・FeLVなど)・アレルギー性皮膚疾患など |
予防できる病気 | ・精巣腫瘍・睾丸炎など |
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発生を減少できる病気 | ・ウイルス性疾患(FIV・FeLVなど)・猫同士のケンカによる外傷・交通事故死など |
その他の変化
早期手術により、問題行動の改善に大きな効果がみられます(性格が穏やかになり攻撃行動が減る、放浪・マーキング・マウンティングが減る、性的なストレス行動から解放される、しつけや訓練がしやすくなるなど)。
※生まれ持った性格は変わりませんが、手術により発情期の興奮や神経過敏・闘争・放浪などがなくなり、行動が安定しておとなしくなります。また、性ホルモンに起因するストレスから開放されて行動が変化するので、穏やかになるといわれています。
避妊・去勢手術の社会的な意義
望まれない出産や過剰繁殖を防ぎ、不幸な子犬・子猫を増やさないことができます。また、発情時の鳴き声や闘争などによる近隣への影響もなくなります。ワンちゃんネコちゃんにとっても、またご家族皆様や周囲の方々にとってもストレスの少ない快適な生活を送ることができます。
若いワンちゃんやネコちゃんについては、性成熟前の生後6ヵ月前後が適期となります(4ヵ月齢から可能な場合もありますし、以降でも健康であればいつでも行うことができます)。但し、ワクチン接種の時期や発育・健康状態、発情状況等によって変わってきます。手術前には一度診察を受けてから予定を立てていきましょう(手術は完全予約制となります)。
当院では女の子(避妊手術)には卵巣子宮摘出術、男の子(去勢手術)には睾丸摘出術の手術を行っています。
手術前には身体検査や血液検査など各種検査を行い、健康状態を確認します。
手術当日は朝から絶食絶水で、午前9時から10時の間に来院していただきます。
手術後は1日安静にして、お食事や飲水も翌日からとなります。退院は一般的には翌日の午前中ですが、ご希望により当日の夜も可能な場合があります(費用はどちらも同じです)。また手術後の経過にもよりますが、手術後10日~2週間程で抜糸となります(抜糸が必要のない手術方法をとることもあります)。
抜糸後3日目位からシャンプー、水浴び等をしていただくことができます。
手術後に気をつけていただきたいこと
肥満にならないように注意しましょう!
避妊・去勢手術を行うと、発情行動がなくなり、それに伴う興奮や縄張りに関する神経過敏等が減少するなど、行動に大きく変化が見られます。その結果、消費カロリーが手術前と比べて15~25%減少するといわれています。したがって、手術後も毎日の食事量が同じですと、摂取カロリーが消費カロリーを上回り、太りやすくなってしまいます。そこで、食事の(カロリー)量を手術前より約20%程度減らしていただくことをお勧めします。また手術後の体質に合わせたフードもありますので、お気軽にご相談ください。