202505/20
海外渡航手続き
最近、『海外にワンちゃんネコちゃんも一緒に連れて行きたいがどうしたらいいか』というお問い合わせが増えてきました。
理由は様々で、「海外勤務が決まった」「海外で数年間暮らすことになった」「海外永住することにした」などが多くみられます。
当院では、渡航に対する相談や書類作成のお手伝いをさせていただいています。
ご希望の方は、一度ご相談ください。
渡航先の国(または州など)によって、必要な手続きは異なります。
基本的には、飼い主様に渡航先毎に必要な各書類を準備していただく形となります(当院で一般的な書式にて準備できるものもあります)。
詳細は渡航国の大使館にお問い合わせいただくか、航空会社や勤務先の該当部署等にお尋ねいただく方が不備が少ないと思われます。
以下は、一般的な手続きの流れです。
まずマイクロチップの装着・登録が必須となってきます。
この「マイクロチップによる個体識別」を最初に行っておかないと、その後の行程がやり直しになってしまいますのでご注意ください。
既に装着をされている方は、番号の確認をさせていただきます。
そして、検疫で一番重要なことは「狂犬病予防がしっかりとできているか」、「狂犬病ウイルスに対する免疫(抗体)がしっかりあるか」ということです。
空港検疫には、狂犬病抗体価および証明書が必要となります(ネコちゃんも同様です)。
まず1回目の狂犬病予防注射を接種し、30日以上あけてに2回目の接種をします。
2回目接種から7~14日後に病院で採血と血清分離を行い、ご自身でその血清を検査依頼先に送って抗体価を測定・結果証明書を発行をしてもらう、という形になります(結果は指定先に2週間ほどで送付されます)。
※検査依頼先:一般財団法人生物科学安全研究所(RIAS)
『1回目と2回目の狂犬病予防接種時期が数ヵ月あいてしまう』、『前回接種した狂犬病予防注射が、1回目接種として渡航条件に当てはまるのか』等の疑問点がある場合には、検査依頼先へ直接お問い合わせください。
その他には、混合ワクチンの予防歴・証明書、消化管内寄生虫の駆除歴や証明書、健康診断書などが必要な場合があります。
いずれも当院で行った事項に関しては、書類発行が可能です。
上記の書類や狂犬病抗体価測定依頼書は、必要に応じて英語での作成も行っています(英語書類の発行は後日となります)。
すべての手続き・書類作成に関しては、日数的な制限がありますので、渡航の際は時間的余裕をもって準備されることをお勧めします。
また、別の観点ですが、海外で避妊・去勢手術を行うことは、ややハードルが高い印象がありますので、日本国内で済ませておいた方がいろいろと安心できる面が多いと思います。
最後に、動物にとって海外渡航は、移動時間の長さや生活環境の違いによるストレスがかなり大きいと考えられます。
一部の犬種等は、航空会社によっては搭乗を拒否されることもあります。
最近は荷室ではなく、客室に一緒に搭乗できる航空会社も増えてきましたが、それでも長時間のフライトは負担になってしまうことでしょう。
特に高齢の子は体への負担も大きく出てしまうことも考えられますので、ご注意ください。
諸々ご心配な点がありましたら、お気軽にご相談ください。
渡航される動物たちと皆様が、無事に目的地に着き、一緒に楽しく暮らせることを願っています。