202309/24
クロミちゃん(幼児園ウサギ)の避妊手術
先月、幼児園ウサギのクロミちゃんの避妊手術を行いました。
単独飼育なので妊娠の心配はありませんが、将来ウサギさんの飼育頭数が増える可能性と、
何より生殖器疾患(卵巣疾患・子宮疾患)の予防のために、年齢の若いうちに行うこととなりました。
ウサギさんの避妊手術の術式は、基本的にはワンちゃんネコちゃんと同じになります(解剖学上の構造は少し違います)。
一般的には1歳未満なら卵巣摘出術のみ、1歳以上なら卵巣・子宮摘出術が選択されます。
※ウサギさんは年齢が上がるほど子宮間膜(子宮角を取り囲む膜)に脂肪が付きやすいこともあるため、この点からも生後半年から1年くらいにの手術が推奨されます。
実はクロミちゃん、1歳のときに一度避妊手術にチャレンジしたのですが、麻酔の耐性に問題があり延期した経歴があります。
今回も心配でしたが、十分な準備と安全性のもと麻酔導入後に順調な麻酔深度が得ることができたため、安心して手術への流れを進めることができました。
クロミちゃんは現在2歳ですので、卵巣・子宮摘出術を選択しました。
↓(手術画像があります。お気を付けてご覧ください)
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クロミちゃんの子宮にはまだ脂肪沈着は少なく、摘出が比較的容易でした。
( ↓ ※例えば4歳のウサギさんの子宮には下の写真のように、薄いピンク色の脂肪がたくさん沈着してしまいます。)
※他のウサギさん(4歳)の子宮
お腹の中に縫合糸を残さないためにも、シーリングという手術装置を使って組織を摘出しました(男の子の去勢手術も同様です)。
また皮膚は、抜糸をしなくても良い方法(吸収糸の埋没縫合)で縫合を行いました(ステープルという器具を使って縫合することもあります)。
避妊手術全行程を無事に終了して、その後の麻酔からの回復もしっかりと目覚めてくれました。
手術後は、当日の夜に退院となりました。
クロミちゃんも元気そうでよかったです!
幼児園で大切に育てられているクロミちゃん。
クロミちゃんは毎週末、希望された児童さんのお家へお泊まりに行っているそうです。
春の健診後もちょうどお泊まり担当の父兄の方がお迎えにいらしていて、一緒に帰る園児さんのとても喜んでいる姿が印象的でした。
中には卒園したお兄ちゃん・お姉ちゃんも楽しみにしているご家庭もあるとか・・・
皆さん、クロミちゃんが大好きなんですね~
動物と一緒に生活する機会が拡がることは、とても良い経験になると思います。
そのように様々な形式でウサギさんとの関わりを作ることができる幼児園も、とても素晴らしいですね。