202509/05
中部地区獣医師大会
「中部地区獣医師大会・獣医学術中部地区学会」に参加してきました。
愛知県・名古屋市・富山県・長野県・福井県・石川県・岐阜県・静岡県・新潟県の獣医師会で構成されている学会です。
会場は毎年持ち回りとなり、今年は名古屋市獣医師会主催で名古屋コンベンションホールにて開催されました。
式典や講演・学術発表、そして看護師向けセミナーや医療器展示ブースなど、様々な催し物が行われた2日間でした。
その中で、とても興味のある講演がありましたので、少しご紹介します。
「伴侶動物との共生が人と社会にもたらす効果」という題目で、
伴侶動物(今回は主にワンちゃん)が人の健康長寿に及ぼす効果を紹介していただきました。
・犬と生活している人は、死亡リスクが23%低い
・犬と生活しているシニアは、フレイル(※)発生リスクが約20%低い
・犬と生活しているシニアは、要介護・死亡発生リスクが46%低い
・犬と生活しているシニアは、要介護認知症発生リスクが40%低い
・犬と生活している人は、脳年齢が最大15歳低下する可能性がある
・犬と同居する人の肥満リスクが低くなる可能性がある
・伴侶動物と暮らす人では、月額介護費が半額になる(国の医療費削減効果は2,000億円以上)
などを詳しく、そして面白く話していただきました。
※フレイル・・・加齢によって心身が衰え、社会とのつながりが減少した状態のこと
つまり、ワンちゃんの散歩などで外に出ることによって、ワンちゃんだけでなく、飼い主さん自身の運動・刺激にもなり、ご近所さん等とのコミュニケーションも図ることができるため、結果的に健康寿命を延ばすことが可能、ということのようです。
また、以前から懸念されていることですが、
日本の家庭での動物飼育頭数の減少は著しいものがあります(現在の動物飼育家庭数は全家庭の2割前後といわれています)。
伴侶動物がいる割合は、アメリカの1/3、オーストラリアの1/2で、主要先進国では最下位レベルです。
伴侶動物と暮らしたいと『考えている人』ですら減少傾向にある、ということは衝撃的でした。
ワンちゃんを嫌いな子どもも2~3割いるということもあり、子どもが動物と触れ合う機会が減っていることも大きな要因の1つのようです。
講演の最後には、イギリスのことわざを教えていただいたので、載せておきます。
子供が生まれたら犬を飼いなさい。
子供が赤ん坊の時は、子供の良き守り手となるでしょう。
子供が幼い時は、子供の良き遊び相手となるでしょう。
子供が少年期の時は、子供の良き理解者となるでしょう。
そして子供が青年になった時、犬は自らの死をもって子供に命の尊さを教えるでしょう。
もちろん、ネコちゃんや他の動物たちにも一緒に暮らすことで受けられる恩恵はたくさんあります。
ことわざの「犬」をほかの動物に置き換えても(多少のニュアンスの違いはあれ)成り立つと思います。
さて、盛況のうちに「名古屋市」での学会は終了しました。
来年は「富山県」での開催となります。どのような学会になるのか今から楽しみにしています。
そして2年後は当「愛知県」が主催となるため、我々の担当となり準備が大変そうです・・・